脳内の具現化から未来予想図へ〜理想と現実のあいだ〜
本当はこっちのピンクの服が理想的で着てみたいと思っているのに、手持ちの服に合わせやすいからという理由でグレーの服ばかりを買ってしまう現実主義の人、firstfilmの梶原麻美子です。
「本当はこうなりたい」
「理想はこっちなんだけどな」
「こうだったら最高なのにな」
って思うこと、大なり小なり誰しもあると思います。
「こうだったらいいな」ってどこまで叶えることができるんだろう。
もしかしたら全てが理想でつくられた生活は、必ずしも居心地が良いとは言えないのかもしれない。
そんな事を時々頭の片隅で透明度10%くらいにうーっすら思いながら、普通に穏やかにいつも通り家事育児に終われる日々を送っています。
とくに難しい話ではないのでチョコとコーヒーを準備して頬杖でもつきながら読んでみてください。
誕生日プレゼントは何が欲しい?
我が家には幼稚園に通う年長息子と年少娘がいます。
とにかく優柔不断な息子。誕生日やクリスマス、ちょっとした買い物でも決めるのにやたら時間をかけてくれます。 誕生日は6月なのですが、年始に今年の誕生日は何が欲しいのかをひとまず聞いてみました。
私 「7歳の誕生日プレゼントは何が欲しい?」
息子 「家。おっきい家。」
私 「欲しいねー!おかあさんも一番欲しいものはおっきい家だよ」
息子 「それだけでいいよ。それさえくれたら何もいらないんで。」
私 (わりと本気かよ)
我が家は現在2LDKのアパート住まい。子供の成長と共に手狭になってきて、何よりトイレが足りない!朝のトイレ戦争辛し・・・。 しかも2階に住んでいるので、元気有り余る子供らに、毎日毎日「静かに!それ下に響く!」と吠えまくるのもお互いに苦しいものがあります。
お友達をたくさんお家に呼んで遊びたい!自分の部屋が欲しい!お家でバーベキューしたい!お家でお野菜作りたい!走って怒られたくない! 息子も家が欲しいなりに理由はあるようです。
私だって私だって・・・!と言いたいところですが、我が家は転勤族・・・。
子供達よ、その脳内にある理想を形にしてみようじゃないか
2月に入ってもう一回聞いてみました。
母 「誕生日何が欲しい?」
息子 「だから家。」
母 「はいはい。で、何が欲しい?」
息子 「家がほしい!おねがいおねがい!あと何回寝たらたんじょうび!?」
母 「100回くらいかな・・・」(遠い目)
珍しい。いつもなら決められなくて最終的に私を怒らせているのに、どう頑張っても叶えられないもので半年前から決定してしまっている・・・。 「あと何回寝たら◯◯?」も楽しみなことが待ちきれないときのお決まりのセリフ。
私 「じゃあ、頭の中で考えてる住みたい家、作ってみてくれない?」
息子 「わかった。レゴでつくるからそのとおりの家にしてよ?ね!」
私 「レゴだしそのまんまはちょっと無理かなぁ」
息子 「そんなのわかってる!こんなかんじってわかるでしょ、なんとなく!」
はい、トゥイマテン・・・
なんかこう、ピュアさが抜けてきたのね。そこ、母としては寂しいんですけど。
そんなこんなで娘も自分の部屋がどうしても欲しいとかなんとかでレゴでマイホームを作り始めました。二人曰く、「あしたからすみたい家」だそうで。
梶原麻美子の建もの探訪
息子 「おかーさん!できたから!はやくみて!」
娘 「ここが私のおへやで、ここが・・・」
息子 「だめ!ぼくがせつめいする!」
私 「ピンポーン!」
娘 「いらっしゃいましぇー」
私 「こんにちはぁ〜。おぉ・・・!これはすごいねぇ〜!全ての壁をとっぱらった大胆かつ開放的で突っ込みどころ満載の造り。じゃあお家の案内よろしくお願いします」
兄妹合作「あしたからすみたい家」
息子 「おかあさん、そのかんじやだ」
大大大好きな番組、渡辺篤史の建もの探訪!頭の中はあのBGMが止まらない。 あーだこーだ言ってるうちに分刻みで家の容貌が変化してゆきます・・・
私 「むき出しの出窓も玄関の扉も目がチカチカするほどカラフルで近未来的ですねぇ」
(この出窓さっきなかったな・・・)
息子 「家の壁みえないの?窓は大きくてここからいつでもともだちが入ってこれるんだよ。ゲームがしたい人はこの窓から、ベイブレードしたい人はこの窓から、、、」
壁は大人には見えない透明なバリヤで覆われており、猫ドアと思っていたものが、なんとも友達想いの窓のよう。
私 「お家にお邪魔する前に目に入るのが・・・」
遊具と見せかけて・・・
私 「わかった!遊具だ!ここで平均台みたいに歩いたりして遊ぶとこですね!」
息子 「ちがう、まぶしいからつけてるだけ」
私 「読めない」
難しい。息子の脳内はどうなってるんだ。とりあえず奇抜な玄関からお邪魔しよう。
奇抜な玄関
私 「奇抜な玄関を開けるとまずあるのが・・・」
何時間でもくつろげそうな素敵なダイニングテーブル
(さっきここにキリンがいたような・・・)
息子 「ご飯食べるとこ。でっかいテレビを見ながら食べられます」
食事中テレビを消す我が家。ご飯を食べながら食事をするのも希望の一つのようです。 でも、そうするとまったく食事が進まなくて食事中も雷をドッカンドッカン落とすことになるのは我が家だけでしょうか?
子供たちの話を聞くに、家の内部一つ一つに強いこだわりがある模様。なので、今まで聞いたこともないような子供たちの夢や希望や詰まっているのかもしれないと事細かに聞いてみることにしました。
私 「おー。ゆったりと何時間でもくつろげそうな素敵なダイニングテーブル」
息子 「このテーブルは発射台にもなるから」
私 「くつろげねぇ」
「そういえばさっきここにいたキリンは?キリンを飼いたいの?」
息子 「犬がなかったから代わりにキリンをおいてたんだよ。わかるでしょ、なんとなく!」
私 「トゥイマテン・・・」
「すまん、おかあさん犬苦手だから犬は飼えないよ」という夢を一瞬で取り下げてしまう発言はとりあえず控えておくことに。それにしても我が子ながらまったく読めない。さらには雰囲気でイメージを把握しなければならないハイレベルな建もの探訪になりそうな予感がする。
私 「そうそう、ダイニングテーブルからテレビ・・・おー!大きい、これはいい眺めですねぇ。でも」
ダイニングテーブルからテレビをみた時の眺め
私 「気のせいか黒いものが邪魔をします」
・・・・・。
息子 「神社だよ。べんりかとおもって」
発射台に神社・・・。
こんなふうに男子は謎の思考回路を持つ生き物なのですが、いつもいたって本人は大真面目。あんまり突っ込んで聞いてみても母には理解不能なことが多いのでサクサクいってみます。
息子の願いと娘の願い
息子 「お気に入りのぼくの寝るへや。ベッドもぼくの体にぴったりでまくらの上に扇風機がついてるんだよ」
息子の願い
私 「夏、こういうのあったらいいなって思ったことあるある!」
左右対称のこぢんまりとしたサイズ感のベッド、枕元には扇風機。寝かせている人形も心なしか息子の性格のように律儀だ。
息子 「寝る部屋の上のとこがシャワーできるとこね。シャンプーもリンスも上から出てくるよ」
私 「おぉ〜。これまた四方八方に水や泡が飛び散りそうな・・・」
息子 「なに?」
私 「いえ、まるで外国の映画に出てきそうな素晴らしいシャワールームで!おや、ここにもう一人ドカンと寝そべってる人がいますね」
娘の願い
娘 「わたしのベッド!玄関入ったらすぐ!わたしのでっかいベッドがあるの。すぐ寝れるんだよ!でっかいテレビつき」
私 「なるほど。でっかいとすぐしか耳に入ってこない」
しかしなんという理想むき出しの部屋・・・。娘の脳内を具現化するとこうなるか・・・!
ただただ「楽したい」が溢れでている・・・。 きっと将来も自分の感情に正直に自由に生きていくんだろうな。心配だけど羨ましいような。
それにしても兄妹性別の差はあれど、毎日同じものを食べ、同じような生活をしているにも関わらず、こんなにも性格の差がでる二人。もうね、性格なんて腹のなかで大体決まるものなんだと確信しましたよ。
あとは巷でよく言われる、一人目は初めての子育てで神経質に育てるから長男長女はどこか神経質に。二人目以降はある意味強くてニューゲーム状態な育児だから、まんべんなくちゃんとやらない適当育児で子供も大雑把に。が顕著に表れているのでしょうか。
これからは成長とともに悩んだり苦しんだり、色んなことを学びながら影響を受けながら変わる部分や意識的に変えていく部分はもちろんあるだろうけれど、性格の根本の部分てもう出来上がってるんだろうなぁ。
私 「こんな広いベッドで一人で寝るの?」
娘 「そう。ラクだから。でもだいじょうぶ!すぐまもってくれるでっかいヤツつけておいたから!」
すぐまもってくれるでっかいヤツ
謎の守り神に見守られながらラクに眠るらしい。どんだけ楽したいんだ。その横でいそいそと改築している息子。
私 「あ!だれ!この女!不法侵入者よ!」
赤髪赤リップなヘソだしルック姉ちゃん登場
息子 「この人はけっこんする人だよ!せまいとおこられると思ってベッドもひろくした」
私 「ファッ・・・!」
別に。人は見かけが全てとは言わない。 あんなに自分の理想を詰め込んだ素敵なベッドをいとも簡単に赤髪赤リップなヘソだしルック姉ちゃんのためにシンプルなダブルベッドに変えてしまうなんて・・・。いいんだ、いいんだよ、わかってる。君は女性に合わせておいたほうが物事がうまく進むことが多いということをすでに心得てるんだね、日常生活から・・・と、遠い目になる私。
息子 「だいじょうぶだよ!トイレはちゃんとふたつあるから」
私 「どこよ・・・」
息子 「そこ!そこの赤いイス!」
開放感のあるオシャレなトイレ
私 「これですか・・・」
娘 「わたしはこのまま寝ながらすぐでっかいウ◯チもできるんだよ!ぎゃはぎゃは!」
私 「・・・・・」
息子 「もう一つはあそこね!みえる?」
開放感のあるオシャレなトイレ(二つ目)
私 「神社の奥、むき出しの出窓の手前ですね・・・」
娘 「ねーねー!わたしはここのトイレで寝ながらすぐ◯※▲◆×◯▲むははは!!!」
息子 「おかあさんどうしたの?」
私 「いや、楽しい建もの探訪だったなって・・・お邪魔しました・・・」
幸せになれよ・・・
子供達の脳内を具現化した建もの探訪は、それぞれの性格を再確認できたことで面白おかしくもあり、未来予想図にもなっていたり、まさかのちょっぴり寂しい気持ちで終わりを迎えました。
「こうだったらいいな」ってどこまで叶えることができるんだろう。
もしかしたら全てが理想でつくられた生活は必ずしも居心地が良いとは言えないのかもしれない。
この正解は私にもまだまだわからないけど、我が家でいうところの現実主義の象徴が状況に合わせたシンプルなダブルベッドで、理想主義の象徴が玄関直結テレビ付き、トイレも寝ながら出来るバカでかいベッドだとするならば。
大人になるに連れてどこか現実主義が正解と思いがちだけど、理想主義(理想)を持ち合わせているからこそ目標や楽しみや新しい発想が生まれるんだろうなと思う。
ピンクとグレーの服で迷って結局いつものようにグレーの服を買って腑に落ちた感をもつのは心地良い。でもたまに理想を優先させてピンクの服を買ってみたら新しい自分の発見だったり、なんだか良い気分になれたりするかもしれない。実際、ピンクとグレーで迷ってる時点でピンクの服を着た自分を想像するとちょっと楽しい、みたいなことないですか?
6歳の息子は現実主義で4歳の娘は理想主義。
いいじゃないか。これから理想を形にしていく楽しさと、ときに現実と向き合いながら、折り合いをつけつつ逞しく楽しく幸せに生きていく道を模索していっておくれ・・・。
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そんなこんなで、頭の中の理想を目の前で形にしてみたら願いが叶った気分になったのか、満足感に溢れている子供達。そこでまたなんとなく息子に聞いてみました。
私 「で、誕生日は何がほしい?」
息子 「おとうと!」
私 「家と人以外でお願いします」
こりゃプレゼント決定までの道のりは長そうだ。 おしまい!
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